導入先企業の紹介
京都市のほぼ中央を北から南に流れる堀川。川のそばにある趣ある町家オフィスが今回のインタビュー先である株式会社ツナグム(Tunagum)。今回は、同社の創業者であり代表を務める田村篤史さんに、&PUBLIC(アンドパブリック)のサービスを活用された「理由」と「効果」を伺いました。
田村 篤史(たむら あつし)|株式会社ツナグム 代表取締役
京都生まれ。3.11を契機に東京からUターン。京都移住計画を立ち上げる。2015年にツナグムを創業。採用支援、企業や大学など拠点運営、地方への関係人口づくり等を通じて、人の働く・生きる選択肢を広げる。2020年、京都信用金庫の共創空間QUESTIONの運営に参画。京都信用金庫と合同で新会社Q’sを設立し「京都のまちにもう一つの台所を」をコンセプトにしたコミュニティキッチン事業を開始。
抱えていた課題
(ツナグム)田村さん:東日本大震災をきっかけに東京から京都にUターンしたあと、2015年にツナグムを創業しました。現在は京都の中小企業の採用支援や、地域への関係人口や移住などを見据えたプログラムの企画運営や広報などを行なう「京都移住計画」というプロジェクトや、地域に根ざした金融機関である「京都信用金庫」が新しくつくった問いからはじまる共創空間「QUESTION」の運営支援など、様々な事業に取り組んでいます。
ー 創業7年目にして、多くの事業が生まれ、拡がり、根付いているんですね。
(ツナグム)田村さん:もともとは個人事業からはじまった会社という背景もあり、プロジェクトの拡がりにあわせてメンバーが増えてからも、雇用関係はあるものの、雇用主と従業員といった一般的な関係性ではなく、いわば「フリーランスの集合体」のようなゆるやかな関わりの中で仕事を進めるスタイルでした。
ー 素敵な働き方だと思いますが、何か課題を感じられていたのでしょうか?
(ツナグム)田村さん:はい。会社が7年目を迎えたときに思ったんです。ああ、小学生から中学生になるのと同じかもしれないなって。「小学7年生」ではなく、「中学1年生」になるとしたら、それはどんな変化なんだろうか。加えて、ここ数年は周囲からも「ツナグムという1つの組織」として期待されることも増えたため、メンバーの力をより活かし合い、「個人も法人もともに発展できる組織のあり方」や、多様なプロジェクトが生まれるなかで「ツナグムとは一体何なのか」を語れるようにする必要性を感じ始めていたんです。
導入したサービス
ー 「インパクトデザイン研修」を導入した理由について教えていただけますか?
(ツナグム)田村さん:社会における組織の存在意義や生み出す社会価値をチームで対話を通じて言葉にし、整理していくプロセスに関心を持ったのがキッカケです。単なるチームビルディングの研修ではなく、「自分たちが何者なのか」「何を目指すのか」など、ありたい未来の光景や自分たちらしさを明確にしたいと感じて、メンバー全員で一緒に考えてみたいと社内に導入の提案をしました。
進めるなかでの気づき
ー 研修が進むなかで感じたことはありますか?
(ツナグム)田村さん:最初は「オンライン」での実施も考えましたが、オフィスが雰囲気のある町家であり、庭の見える畳の部屋があったので、リアルで集って対面で実施しました。基本的には対話には慣れている組織だと思います。それでも付箋に書きだすプロセスがあることで、「ゆっくり考えるタイプの人が話しにくい」「中心的なメンバーだけがずっと話す」ということにはならず、それぞれの意見を机上にすべて出して共有できたことは非常に良かったと思います。また、経営者サイドが進行をし、メンバーが意見を言うなど、立場が明確に分かれてしまう対話の機会に比べると、外部ファシリテーターがいることで、経営者もメンバーも、ともに一人の参加者として意見をフラットに言いやすくなることを改めて感じました。
生まれた効果
ー サービスの導入で、どんな効果や価値を感じられていますか?
(ツナグム)田村さん:めざす成果と手段の設計図である「ロジックモデル」という思考フレームを活用して、長期・中期・初期の成果(アウトカム)をバックキャスティングで整理していった結果、会社のビジョン「生き方・働き方の選択肢を拡げ、共に生きやすい社会を実現していきます」の言語化につながりました。対話で生まれたキーワードから、ツナグムというチームを表す言葉もできました。「ツナグムは、関係性をいかしあいながら、望む未来を形にしていく組織体です。」というメッセージが生まれたことで、組織としての存在意義はより明確になったと感じます。現在は、これらをウェブサイトに明記しました。
今後にむけて
ー サービスについて、不十分だと感じられた点や改善点はありますか?
(ツナグム)田村さん:研修を終えて1年半が経ちました。自分たちの存在意義を言葉にすることで目にみえるようになり、共有できるようになったことは大きな成果だったと感じています。実際に事業に取り組むときには、定めた組織のめざすものとのブレがないかなど、立ち戻れる拠り所にもなっています。一方で、つくりあげたロジックモデルを日々の事業活動の改善に活かすマネジメントサイクルを回すところまでは至っておらず、組織がめざす成果にどのくらい近づいたのか、何を社会に対して発揮できているのかをきちんと測定し、社内外に共有発信していく必要性を感じています。そのあたりのサポートがあれば嬉しいですね。
ー もともと「つくって終わりにならないか」という声も社内から出ていたと聞いています。マネジメントサイクルへの落とし込みの支援として「インパクトマネジメント研修」を開発しましたので、ぜひご利用いただければ嬉しいです。
今回は、株式会社ツナグム 代表取締役の田村篤史さんにお話を伺いました。田村さん、ありがとうございました。これからもどうぞよろしくお願いいたします。
組織名 :株式会社ツナグム
役員 :代表取締役 田村 篤史|取締役 タナカ ユウヤ
所在地 :京都府京都市上京区福大明神町128
設立日 :2015年3月
&PUBLIC(アンドパブリック)は、「公共のチカラをともに革新する」をコンセプトに、ソーシャルインパクトを追求する組織のために「インパクトデザイン研修」や「インパクトマネジメントツール」を開発・提供しています。ビジネスをより良い社会をつくるための力に使いたい経営者・リーダーの皆さんを支えます。もっと知りたいという方は、以下のページをご覧ください。